2004年6月22日

独マンハイム大学の実験経済ワークショップ

ドイツ・マンハイム大学が毎年開催している実験経済学のワークショップ(MERSS)に参加しました。競争倍率5倍以上とのことで、推薦状を書いてくれた指導教官の Yan Chen 先生にはとにかく感謝です。Combinatorial auction 実験のワーキングペーパーを携えて参加しました。写真はマンハイム市の水道塔、石畳の通りに路面電車が走るいかにもなヨーロッパ町です。

12日間で講師は4人、Rachel Croson(ペンシルバニア大ウォートンビジネススクール)、Dan Houser(ジョージメイスン大)、Paul Ruud(UCバークレー)と Vassilis HAJIVASSILIOU(LSE)でした。やはり、ドイツなんだなと感じた文化ギャップは、みんなで一緒に参加しようという前提のイベント。ほぼ毎日あって、すばらしい! いい意味で日本と同じです。アメリカの学会なんか、イベントもなく、参加者同士の友達ネットワークがないと「さびしい」です。アメリカ的個人主義で意外とつかれます。

講義と並行して、参加者がグループに分かれて行う実験プロジェクト演習もあり、私はrisk attitude 実験を選びました。他の5人の参加者と考えた実験デザインは、いわゆる loss aversion という reference point を中心に効用関数がS字になるという現象を確かめようというものでした(例として、ギャンブルで負けが続いたときには大きなリスクをとり、勝っているときにはリスクを嫌うというな行動の理論づけ)。実験を2段階にわけ、1段階目で loss と gain をそれぞれinduce し、2段階目の risk taking behavior を図りました。実験プログラムを書けるのは zTree を使える私だけだったので、徹夜して一晩でプログラムを仕上げました。サンプル数が少ないので統計的有意には出ませんが、やっぱり loss domain にいるときのほうが2段階目のギャンブルでリスクを取りたくなるというような傾向は観察されました。みんなでS字カーブを作って記念撮影です。