2013年3月10日

経済実験を体験できる未来館の「波乱万丈!おかね道」

おもしろい!に徹底的にこだわった展示でした 
「監修協力」させていただけて幸せです
あなたは自分が公平な人間だと思っていますか? 本当にそうかどうかを確かめる"実験"が経済学であるんです。

日本科学未来館(お台場)の特別企画展「波乱万丈!おかね道」では、「あなたを映し出す10の実験」とあるように、お金にまつわる実験に参加し質問に答えることで、自分の意外な面を発見できます。(展示は6月24日まで)

「監修協力」に私の名前をいれていただいたので、4歳の息子と一緒に内覧会に行きました。大人と子どもの経済観念の違いを実感できる場面や、アニメやコントを活用した映像展示もあり、お子さんと一緒でも楽しめます。

例えばある実験では、あなたが「公平な人」か「自分の利益を最優先する人」かが分かります。ひとりでも楽しめますが、仲の良い友人やカップルで一緒に行き、実験結果を見せ合うと盛り上がるでしょう。

私の講義では、うまい棒ゲームで
"限界効用逓減"を説明します。
毎年、大人買いです。
私は一橋大学と早稲田大学で"実験経済学"を教えて今年で4年目です。そこで一番大事にしてきたことは、この企画展の趣旨にも通ずる「経済理論を、身を持って体験してもらう」ことです。講義では、紙に書かれた数字をみて考えるゲームだけでなく、うまい棒を使った実験などなるべくモノを使って実演してきました。教科書を読んだり板書を写すだけでなく、一度実験に参加してもらうと、実感をともなって経済理論を理解してくれるようです(「早稲田大学で話題の講義!」)。

講義は大学の教室で完結するので、経済実験を体験してもらえるのは、350人弱が限界です。 一方、こちらの企画展は、大学生だけでなく、社会人や中高生、小学生など毎日数百人が参加でき、累計参加者は数万人規模が期待できます。

展示を見てすごいな!と思うのは、見せ方の工夫です。まず、ポスターやウェブサイトに使われているイラストがセンス抜群に良く目を惹きます。ほかにも「難しそう」ではなく「面白そう」と思わせる、匠の技がたくさん。
"ミライ銀行"のATMが第1の展示
ここからスタートです

「おかね道手帖」 これを手に会場を
まわり、10の実験での自分の行動を
記録します。教訓・解説も記載。
会場入り口にはATMを模した実験装置があり、うちの4歳児は駆け寄っていましたし、通帳風の冊子(写真)に実験結果を記録するのが洒落ています。科学展示の専門家やデザイナーさん、展示物を作る専門家のみなさんの力が結集されて、経済実験の面白さが伝わる形になっています。



リスク認知の"歪み"をあぶりだす
実験は、カジノっぽい演出で。
監修協力者一覧に
「竹内幹」を見つけました。
時間選好:どっちを選ぶか、まずは
2つの入り口のどちらかに入る。

ちなみに、『中央公論』の4月号では「身の丈の経済学:お金との付き合い方から社会を考える」と題した特集が掲載されています。この中で、大竹文雄先生(企画展の総合監修)、山岸俊男先生、春野雅彦先生と一緒に私も寄稿をさせていただきました(テーマは「高齢者と将来世代、どちらを重視するか?」)。併せて御覧いただけたら嬉しいです。