余談:CV(履歴書)にあるとおり、Assistant Professor(助教授 or 専任講師レベル)だった彼ですが、去年の11月には准教授をとびこして、いきなり Full Professor(正教授)への昇格が決まっていたんですね(ここにはなんともすごい事情があったわけで、いやはや、まいりました)。
私の車でディナー会場に向かう途中、ドナー交換が日本では進みにくい状況を話しながら、私が「公平性の問題もあるようで、移植を待っている人が多くいるのに、一部だけ抜け駆けをして腎移植を受けたりするのは不公平だとかなんとか(A案)」と話すと、Utkuさんは...
「ありえない!? だって、パレート改善じゃないのか」と驚いていました。「いやーそれが、なんていうか、日本の社会規範なんですよねーw」というと、一緒に乗っていたOnur Kesten氏(カーネギーメロン大)も「1人がbetter offになる(得する)くらいなら、みんなでworse-offでいる(損しつづける)ことをを選ぶんだよね」とフォローしてくれました。Exactly! うーむ、よくご存知で。
もちろん、上のA案B案に書かれているように、いろいろと問題はありますけど、みんなでworse-offは当たっています。ちなみに参考ですが、ドナー交換腎移植に関する日本移植学会の見解では、
(2)しかし、ドナー交換腎移植は医学的・倫理的に大きな問題を含むものであり、個別の事例として各施設の倫理審査のもとに行われるべきものである。したがって、ドナー交換ネットワークなどの「社会的なシステム」によりドナー交換腎移植を推進すべきものではない。
こちらの記事に紹介されているようなネットワークの構築は日本では難しそうです:山陽新聞の記事「ドナー交換 「生体」際限なく拡大」
1 件のコメント:
生体腎移植に関しては、ドナー交換の問題以前に、透析と年金制度などの制度上の構造的問題、健康な身体にメスを入れることのリスクに対する議論の不足、等、根本的問題がいくつかあったと思います。
「公平性の問題もあるようで、移植を待っている人が多くいるのに、・・・」これはどこからお聞きになった話でしょうか?これが本当だとしたら医療の現場と患者はバカだらけだということになると思いますが。
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