2007年6月22日

博士号(Ph.D.)を取得

今日はDoctoral dissertation (博士論文) を提出。5月18日に Oral defense (口頭試験)を終えてからは博士論文の手直しをつづけていましたが、ようやく終わりました。大学院(Rackham Gradulate School)に博士論文を持参し、学位請求手続きを完了しました。学位の請求だけならwebsiteであっけなく終わるのですが、博士論文の書式を整えるのに時間がかかります。係りの人が1枚1枚ページを確認し、一部分修正をもとめられました。文献リストを最後にまとめているのですが、そのリストの前に「Bibliography」という扉ページが必要だったようです。数学科のLaTeXフォーマットでは扉ページは出力されなかったので、そのままにしていました。その場でPCを開いて、扉ページを作成しことなきをえました。

ほかにもアンケート票に記入したり、著作権管理の同意書にサインしたり、20分くらいかかります。そしてその場で、学位取得証明書 certificate が発行されました(写真)。担当の人は日本語を少し話す Ashley さん、「おめでとう」と日本語で言ってくれました、うれしかったです。Congratulations!

ちなみに博士論文の電子データの提出はもとめられていません。大学全体はかなりIT化されていて、たとえば、学生の履修登録はもちろん、学費のオンライン決済や、先生のほうからの成績の入力・受講者リスト(顔写真付き)作成まで全部がwebsiteでできるのですが、博士論文は紙だけで提出しました。IT化のフロンティアですね。

2007年5月25日

フランス経済学会(行動経済学と実験経済学)で発表

フランス第2の都市、リヨンで学会発表。主催はフランスの経済学会で、テーマは「行動経済学と実験経済学」。完成間近の博士論文をもって出かけました。http://www.gate.cnrs.fr/afse-jee/
 ヨーロッパでの発表は、2004年のドイツ・マンハイム大学のワークショップ以来。参加費用は学生180ユーロ(約3万円)で、高すぎる気もします。それでも口頭試験の直後でしたし、ついでにチュニジアにも観光で行きたかったので、せっかくだからと参加しました。

ひとつびっくりしたのは、休憩時間にワインがでることです(→写真)。ワインが水がわりだとはいえ、セッションの前にみんながワインを飲んでいるのは、アメリカではありえない光景でした。もちろん、リラックスできていいとは思いますね。

さて、学会に参加すると、関係書類をいれるカバンがついてくることがあります。今回のカバンはこんなんでした(写真)。薄手なので、意外と便利でした。市内観光のときに水のボトルとカメラを入れておくのにちょうどよかったです。

がっかりしたのは、レセプション。学会のwebsiteにもありますが、リヨン市の由緒ある建物で開かれるということで、一人40ユーロも徴収しました。ところが、これがただの立食パーティで、ひとつまみのスナックが出ただけです。テーブルに着くこともなく、空になったお皿の間に参加者がひしめいていました。


学会にいくつか行ってみて感じたのは、互いに知らない参加者同士がmingle できるようなシステムが必要だということです。主催者が食事とドリンクだけを用意して、「あとはお好きに交流してください」では、だめですね。今回のレセプションでは、参加者の多くが、さびしそうにうろうろと食べ物をさがしているだけで、あまり交流できていませんでした。私自身は自分の研究領域に近い人たちとは色々と情報交換もできましたし、思いがけずbig name な人とも知り合えたりして、収穫はありましたのでよかったです。

リヨンに来て、本当によかったのは、ごはんがおいしかったことです。どのレストランに行っても、基本的にはずれがない。Buchonというリヨンの伝統家庭料理を2晩つづけて食べてみました。あの水代わりのワインをひたすら飲みながら、のんびりと肉料理をいただきます。本当においしかった。アメリカに長くいると味覚がどんどんだめになってしまいますね。またいつか行きたいです。

2007年3月23日

米中西部経済学会(MEA)で発表

Midwest Economic Association (中西部経済学会, MEA)というのがありまして、ミシガン大学の学生はその学会に「練習」気分で参加することが多いようです。今回の会場地はミネソタ州ミネアポリスでした。市内の彫刻公園にある高さ7mの『スプーン橋とチェリー』(写真)を見たかったこと、そして世界最大のショッピングモールMall of America にも行ってみたかったということもあり、学会発表してきました。参加者はだいたい400人くらいの会合です。「実験経済学」なんてセッションも最近できたようで、やはりどこに行っても、色んな人が色んなことをやっています。

私と同じような動機で来ている卒業生もいて、コロンビア(国)やFRBからOBが来ていました。アメリカの"まあまあ"の大学での職を断りコロンビアに帰った彼(写真)ですが、かなり充実した生活を送っているようです。母国に帰って本当によかったとのことです。大学で講義・研究をしつつ、大学の外でコンサルをしてかなり稼ぐこともできるそうです。

2007年2月14日

実験経済学会ESA@大阪で発表

ESAの第2回アジア太平洋大会は大阪大学吹田キャンパスで開かれました。主催委員長は西條辰義先生です。はんなりとしたやさしい話し方の先生ですが、それでいて、いい意味でものすごく「話がはやい」人です。アメリカにいると、Kanは日本から来たんだから"サイジョー"を知っているでしょ? といわれていたのですが、実は初めてお会いしたのは2004年でした。

2004年もここで小規模なミーティングで発表させていただいたのですが、そのときと違ったのは、今回は国際会議ということで全部英語でした。カリフォルニア工科大学からPeter Bossaerts先生を呼んできていたり、香港科技大からはCHEW Soo Hong先生、YaleからShyam Sunder先生も来ていました。

アジアの大学間の競争もなかなか激しく、特に91年にできたばかりの香港科技大の躍進は目覚しいですね、アジアでトップ、世界ランキングでも70位くらいでしょうか。大阪大も経済学の世界ランキングでは日本ではトップ。とにかく英語ベースの勝負なんですね。

2006年11月7日

とにかく贅沢だったINFORMS学会で発表

の年次総会で学会発表してきました。INFORMSはオペレーショナルリサーチ(OR, おーあーる)の総本山。ORは、たとえば大規模な在庫・スケジュール管理を数量的に解決したり、航空会社が持つ飛行ルートや時刻表を最適化したりと、ビジネスには絶対に欠かせない応用数学です。旅客を最大限確保しながら、何百という都市を結ぶ飛行ルートを最短飛行距離で構築できれば、そのコスト削減効果は計り知れません。こういうわけでINFORMSはビジネスと結びつき強いようです。学会のwebsiteにはスポンサーである企業のロゴがたくさん載っています。参加者も4000人を超える大規模な学会で、電話帳みたいに厚いプログラム(発表内容のリスト)をもらいました。

私が発表したのは、package auction (組み合わせオークション)をスケジューリング問題に応用しようという実験の論文。指導教官が invite されたので、共著者の私が派遣されました。セッションチェアは、コンピュータ科学と経済学の分野で大活躍している David Parkes先生(ハーバード大学)。この5年で1億円以上の研究資金を色々なところからもらってますね。彼がミシガン大学に来たときに、指導教官と3人でディナーを食べたんですが、こんなにえらいのにアプローチャブルで話やすい人でした。彼みたいなのを「新進気鋭」っていうんですね、ほんと若いし。

会場地はペンシルバニア州ピッツバーグ。カーネギーメロン大学の所在地でもあります。学会そのものは本当にリッチでした。レセプションは、カーネギー美術館を貸切です。そして、ローストビーフ/パスタ/サラダやらドリンクが unlimited supply で、お皿が空になることはなかったと思います。ギリシア彫像などをみながら、それをいただくなんて、贅沢でした。もちろん、会場ホテルから美術館までは大型観光バスで送迎です。日本のバブル期って、こんな感じだったんでしょうね...。おなかいっぱいです。(写真右は美術館内の1ホールを写したにすぎません。レセプションは美術館全体を貸切なんです。バブルです。)

2006年10月26日

Google in Ann Arbor グーグルがやってきた

Google(グーグル)がアナーバーに第2の拠点を構えることが8月に決まりました。カリフォルニアのMountain View にある本部につぐ大きさで、総員1000人を擁する予定。現在は町の中心部にある小さな事務所でその準備をしているという段階のようです。

今日は、そのGoogleアナーバー事務所がミシガン大学の学生をリクルートするイベントをやっていました。時間は木曜日の午後5時から8時まで、会場はキャンパス近くにあるゲーセンでした。大学には立派な建物がたくさんあるのですが、あえて、ゲームセンターを選ぶところがいかにもGoogleですね。

ゲーセンのなかには、Konami, Namco-Bandai, Sega, Capcom のゲーム機が所狭しとならんでいるのですが、そのなかにあるビリヤード台を中心に、Tシャツ姿のGoogle社員たちがたくさんの学生たちと話していました。わたしが話したのは、つい1ヶ月前に銀行を辞めて、Googleアナーバー事務所で働き始めたばかりの人。Googleに来る前はミシガン州拠点の地方銀行に勤めていたそうで、「世界」というと米国中西部がせいぜいで、アメリカ全体を意識することさえなかったとのことでした。Googleの視野の広さに惹かれたと(なかば営業トークですが)熱心に語ってくれました。結局、リクルートだったのか、ただの交流会だったのかはわかりませんが、なかなかの熱気でした。おみやげにGoogleのキャップをもらってきました。

2006年9月30日

ESAで学会発表(アリゾナ州)


Economic Science Association (ESA, 経済科学学会)の2006北米大会で発表してきました。ESAはいわばアメリカの「実験経済学会」です。毎年、アリゾナ州トゥーソン(Tucson)にある Westward Look Resort というリゾートでやっています(リンク先をご覧ください)。実験経済学でも有名なアリゾナ大学のお膝元です。

実験経済学といえば、2002年にノーベル記念経済学賞をとった Vernon Smith 先生が有名なのですが、本人はこのESAには来ません。あまり詳しく事情は知らないですが、ジョージメイスン大学が2002年に彼と彼の研究者仲間ごとアリゾナ大学から引き抜いてしまったんですね。ほかのグループと仲が良くなかったとかなんとか...。

トゥーソンはとにかく乾燥しています。汗がシャツにしみていくまえに蒸発してしまいます。汗はかかないのに、水だけは飲み続けていました。リッチなホテル周辺はサボテンで囲まれています(写真)。サボテンの林みたいなものも近くにはあるようです。

夜は、みんなでポーカー大会というのがここ最近の流れですね(写真)。アメリカではポーカーが大流行していて、スポーツチャンネルでもポーカートーナメントを連日放送していました。2年前に発表に来たときは初戦敗退でしたが、今回はベスト10まで勝ち残りました。最後のテーブルではアリゾナ大学グループが4人、みんな強すぎますね。

リゾート地で学会発表して、夜はポーカー大会です。議員の公金視察旅行と変わんないじゃないか! という印象なんですが、全米から大人数が集まるのですから、仕方ないかなという気もします。街のなかでやれば、ホテル代高いし、もっとお金かかりますし。いちごのカクテル、ごちそうさまでした(自費ですよもちろん)。

2006年9月14日

学長公邸で学長と握手

Mary Sue Coleman学長が、9月13日水曜日の午後3時から5時まで、学生と直に対話するため学長公邸を開放しました。全学生宛てにメールを送って招待したため、いろいろなところから学生たちがやってきては、学長と話をしていきました。学長と話すために、10mほどの列ができていましたが、時間がないのでパスしました。

ソーシャルネットワーク Facebook でもいくつかのGroupができていて、「コールマン学長と会いたい」とか「卒業させてくれるならコールマン学長と寝てもいい」といった具合で、なかなか人気者です。学長の専攻はBiochemistry(生物化学)。

写真は公邸の入り口。今年2月14日には、ひとりの男子学生が学長にプロポーズしようと公邸周辺で待ち伏せしていました。学長は既婚ですけど。しかし、誰かが警察に通報したようで、警察に立ち去るよう諭されました。プロポーズするというのはFacebookからはじまった冗談だったのですが、彼はタキシードまで着込んでパラの花を手にずーっと待っていたようです。プロポーズの言葉を伝えることもかなわず、残念な結果におわってしまいました。

2006年3月28日

Outstanding GSI Award受賞!


2000人以上の講師のなかから、トップ20人に選ばれました!! 副賞も$1000 (約12万円) ついてきます。今回、ミシガン大学で Graduate Student Instructor (大学院生の講師)のうち最も優秀な功績を残したものに与えられる Outstanding GSI Award をいただきました。なかなかシリアスな賞で、まず推薦状を論文指導教官、直属の上司、同僚の教官、学生さんたちから合計8通、大学院本部に直接送ってもらう必要があります(全部オンラインですみます)。私自身では、成績証、授業評価の結果、教育理念 (teaching philosophy) を提出します。その上で大学院本部が全学部から推薦されたものたちから20人を選ぶという仕組みです。大勢の前でプレゼンすることには人の100倍の喜びを見出す私ですが、それでもがんばってきた甲斐がありました、本当にうれしかった。講義内容について懇切丁寧にご指導くださった岡先生のおかげでもあります。私にエネルギーをわけてくれた元気な学生さんたちにも感謝です。副賞の半分は彼らの好きな日本のマンガを買って、図書室に寄贈しました。

日本語版:NANA(1巻~15巻)、のだめカンタービレ(1巻~14巻)、雨柳堂夢咄(1巻~5巻)、あずまんが大王(全巻)、ポーの一族、感謝知らずの男。

英語版:Phoenix (Osamu Tezuka, Vol.1-Vol.6), Buddha (Osamu Tezuka, Vol.1-Vol.8), A-A' (Hagio Moto), Nausika (Hayao Miyazaki, Vol.1-Vol.4), AKIRA (Katsuhiro Otomo, Vol.1-Vol.3), Death Note (Tsugumi Ohba, Vol.1-Vol.4). 

2005年7月12日

イスラエル=ヘブライ大学高等研究所の経済理論ワークショップ

イスラエル=ヘブライ大学高等研究所で経済理論サマースクールに参加してきました。今年はAl Roth教授(ハーバード大)の主催です。私もRAとして実験やシミュレーションを手伝った学校選択の論文の著者Tayfun Sönmez教授も来るし、Milgrom教授も combinatorial auction について話しにくるということで、指導教官が推薦状を書いてくれました。参加資格を得るための競争倍率はどのぐらいだったのかはわかりませんが、頭のいい人たちがたくさん来ていました。参加者全員のポスタープレゼンもあり、彼らのリサーチを見るだけでも勉強になります。

テロ対策のため大学キャンパス入り口には自動小銃をもった警備員が常駐し、学生も含め来訪者は全員、金属探知機のゲートを通らなくてはいけません。いったんなかに入れば、のんびりとした緑豊かなキャンパスが広がります(写真:それでもアメリカのフツーの大学のほうが、施設は整っているなという印象です、アメリカの大学産業はとにかくリッチですね)。気候のせいでしょうか、木々が繁茂していて、そこらをネコがのんびりとねころがっていて、落ち着いた雰囲気のキャンパスでした。

入り口右手に進んだところに高等研究所はあります。参加者は全部で69人で、結構たくさんいました。写真はAl Roth教授のオープニング講演です。動画がwebsiteにアップしてありました。頭がよくて、とてもえらい人なんですが、ニコニコとしてえらそうなところが全くありません。能力も人格もこういう人のようになりたいものです。

2004年8月13日

実験経済ワークショップ@ジョージメイソン大


ジョージメイソン大学(George Mason University)の実験経済学研究国際財団-International Foundation for Research in Experimental Economics (IFREE)主催のワークショップに参加。実験経済学を始めた功績でノーベル記念経済学賞(2002年)をもらったVernon Smithさんが1997年に設立した財団だそうです。日程は8月11日から17日。競争倍率はわかりませんが、推薦状を書いてくれた指導教官にはいつも感謝です。

この種のワークショップではホテル代や交通費が全額/一部出るのですが、ここでは実験に参加して得られる被験者謝金がそれに相当することになっています。毎日2~3つの実験に被験者として参加し、1日100ドルくらいもらっていたと思います。内容(と担当講師)は、実験経済学入門, 実験経済学と教育(Doug Davis), バーゲニング交渉(Bart Wilson), 経済システムデザイン(Stephen Rassenti), 水市場(Jim Murphy), グループ意思決定(Rachel Croson), グループ意思決定と進化心理学(Robert Kurzban), 産業組織論(Bart Wilson), マクロ経済学(Cary Deck), フィールド実験(John List), アセット市場(Dave Porter), 被験者のタイプ分け(Dan Houser)、神経経済学(Kevin McCabe)でした。

いろいろな実験を被験者として体験しながら、そのバックグラウンドを学ぶことができるので、なかなかよいワークショップです。

2004年6月22日

独マンハイム大学の実験経済ワークショップ

ドイツ・マンハイム大学が毎年開催している実験経済学のワークショップ(MERSS)に参加しました。競争倍率5倍以上とのことで、推薦状を書いてくれた指導教官の Yan Chen 先生にはとにかく感謝です。Combinatorial auction 実験のワーキングペーパーを携えて参加しました。写真はマンハイム市の水道塔、石畳の通りに路面電車が走るいかにもなヨーロッパ町です。

12日間で講師は4人、Rachel Croson(ペンシルバニア大ウォートンビジネススクール)、Dan Houser(ジョージメイスン大)、Paul Ruud(UCバークレー)と Vassilis HAJIVASSILIOU(LSE)でした。やはり、ドイツなんだなと感じた文化ギャップは、みんなで一緒に参加しようという前提のイベント。ほぼ毎日あって、すばらしい! いい意味で日本と同じです。アメリカの学会なんか、イベントもなく、参加者同士の友達ネットワークがないと「さびしい」です。アメリカ的個人主義で意外とつかれます。

講義と並行して、参加者がグループに分かれて行う実験プロジェクト演習もあり、私はrisk attitude 実験を選びました。他の5人の参加者と考えた実験デザインは、いわゆる loss aversion という reference point を中心に効用関数がS字になるという現象を確かめようというものでした(例として、ギャンブルで負けが続いたときには大きなリスクをとり、勝っているときにはリスクを嫌うというな行動の理論づけ)。実験を2段階にわけ、1段階目で loss と gain をそれぞれinduce し、2段階目の risk taking behavior を図りました。実験プログラムを書けるのは zTree を使える私だけだったので、徹夜して一晩でプログラムを仕上げました。サンプル数が少ないので統計的有意には出ませんが、やっぱり loss domain にいるときのほうが2段階目のギャンブルでリスクを取りたくなるというような傾向は観察されました。みんなでS字カーブを作って記念撮影です。