2008年9月にサブプライムローン問題で株価が急落したあと、講義中に学生のみなさんに"警告"しました。
「3年生の君たちの就職活動は去年とは比較にならないから、覚悟してほしい。」
「サークルやゼミの先輩たちは売り手市場で就活した。そのアドバイスを当てにするな!」
そのときに見せたのが下の図。青いグラフは10月の日経平均株価(終値)で、赤いグラフは大卒求人倍率(リクルートワークス研究所)。
企業が採用計画を練るのが毎年秋。1年半後の4月に入社してくる大卒にターゲットをしぼった採用活動を始めるわけです。そこで、毎年3月に卒業した学生さんたちへの求人倍率を、その1年半前の日経平均株価で当ててみようとグラフを作りました。
たとえば、1998年卒業組が就職活動したときは、求人倍率が1.68倍と2年連続で上昇していました(やや売り手市場)。赤いグラフが98年で小ピークとなっていますね。その上にある青いグラフは1996年10月の株価水準を表していて、これもピーク(2万円を超えた最後の年)となっています。
サブプライムローン問題で株価が急落したあと、青いグラフを8000円のところまでおろして描きました。赤いグラフはまだ描くことができなかったのですが、グラフだけで単純にみれば、大卒求人倍率は2003~2004年頃の水準にまで落ちるかもしれない。
そこで私は「サークルやゼミの先輩に就職活動のアドバイスを聞くな! ここ2~3年は団塊世代の退職もあって、いわゆるバブル的売り手市場だったから、彼らと同じ姿勢で就職活動に臨むと失敗する。みなさんは2003年頃の週刊誌を読んで、危機感を持って!」と呼びかけました。職にあぶれることはさすがにないだろうけど、「一橋なら、このぐらいの会社に入れるはず」という常識が今年は通用しないかもしれない、と。
講義のあと、学生さんが冗談ごかしに「あれを聞いて、もう就活やるき萎えてしまいましたよお」と言ってきました。彼は結局、どうなったのだろうか。あのときは就職活動がここまで厳しくなるなんて、まだ言われていなかった。100人くらい教室にいた人たちのうち、何人がまじめに聞き入れてくれたのか。彼らもあと2ヶ月もしないうちに卒業だ。幸せになってほしい。