2007年10月30日

Noussair教授とばったり

アムステルダム大学の政治経済実験研究所(CREED)と早稲田大学21COE-GLOPEの共催のワークショップがありました。私は1日だけの日本滞在で時間がなかったのですが、なんとかレセプションだけにおじゃますることができました。

Noussair教授は、カルテックで93年にPh.D.をとっていまして、彼の指導教官はLedyard先生でした。Ledyard先生は今の私のボスですから、世界はやっぱり小さいですね。エモリー大学(Emory University)の准教授となりテニュア(終身雇用)を得た彼ですが、今年オランダのティルバーグ大学(Tilburg)に移りました。アメリカとヨーロッパとどちらが研究やりやすいですか? と聞くと、Tilburgのほうが断然いいとのこと。(世界ランキングで120位くらいの)エモリーにいても、研究資金はあまりまわってこないけど、Tilburgならやり放題だそうです。実際、アメリカの大学が上位を占めている世界ランキングでみても Tilburgはなんと25位くらい。そして、何よりもIRBがない! というのがいいそうです。納得。(写真右はNoussairさん、中央は奥さん)

2007年10月27日

インディアンスクールオブビジネス(ISB)の教授とばったり

ロサンゼルス空港のレストランでとなりの人に話しかけてみれば、あのISB(インド商科大学)の先生でした。ちょうどエグゼクティブMBAの1日レクチャーをしに行くところで、インド行きの飛行機を待っていました。聞けば、香港科技大ビジネススクールにも設立当初から籍を置いているようです。1時間以上、いろいろとビジネススクール運営について話を聞かせてもらいました。

学生3~400人ぐらいに対して、7~10人はプロの就職活動担当を置かないとだめだという話が新鮮でした。あいさつの仕方から履歴書の書き方、戦略的なキャリアプラン策定まで、徹頭徹尾、お世話しなければならないとのこと。それは当然といえば当然ですね。ビジネススクールのブランドは卒業生の就職先で計られるわけですから。もっと正確に言えば、ビジネススクール卒業後の年収が入学前と比べてどれだけ上がったか、という評価。ようやく競争が始まった日本の大学ですが、専門知識をもった就職担当者を10人以上おかないといけなくなる日も近いのでしょうか。

2007年10月22日

実験経済学会(ESA)で発表

ESA(アメリカの「実験経済学会」)で発表。毎年、アリゾナ州トゥーソン(Tucson)で開催されます、私は今回で3回目。学会の内容は別エントリーで書くので、ここではソーシャルイベントの目玉のポーカー大会を紹介しましょう。Rachel Croson さん(ペン大→テキサス大ダラス校)が毎年開催していて、今回は61人がエントリーしました。写真は4時間経った後の決勝テーブルで、中央に私が写っていますが、勝ち残ったわけではなくカードシャッフルの役を引き受け決勝戦を観戦していただけです。

行動経済学・実験経済学の専門家はオークションに詳しいということもあって、Yahoo! やら Google からスカウトが来ます。私の(写真に向って右)となりに座っているのは、David Reiley 教授(アリゾナ大)で今年は1年間だけ Yahoo! Research でアドバイザーをします(年棒は最低2000万円くらいでしょうか。来月会うときに聞いてみようかな)。同テーブルにいた別の人は Google から「うちに来ませんか?」と電話があったけど、断ったよと言っていました。

私のとなりでカードをディールしている人が、Rachel。この人がまたとても明るくいい人で、後人の指導を惜しまぬビッグネーム。ペンシルバニア大ウォートンビジネススクール准教授の彼女には企業からコンサルの依頼が殺到するそうです。彼女が前に話してくれたのですが、講演料をあえて「最低100万円にしておかないと断りきれない」というほどでした。ところが、今年 family reason (家庭の事情)でテキサス大学ダラス校に移りました。世界ランキングで250位くらいのダラス校にとっては、世界トップのウォートンから彼女が来てくれたのは、棚ボタというと失礼ですが、まあそういうことでしょうね。

こういう「へー、そうなんだ」という話はソーシャルイベントでしか聞けませんね。実験経済学ならESAが本場だと思うのですが、日本から参加するリサーチャーがいないのがちょっと残念です。

2007年10月20日

周りの乗客にも責任はあるのでは

ベビーカーが山手線のドアにはさまれ、そのまま列車が動きだしてベビーカーが引きずられたという事件。

この事故に関連して登場した、ベビーカーを取り扱う会社(Aprica アップリカ)のコメントに失望。NHKに出た、若いくせに親父然とした担当は、
「電車に乗る時には使用者の自己責任でたたんでくれ」
というようなことを言っていた。

自分の会社で「あたたかい心を育てる運動」をやっているんなら、「(子供は国の宝です。) 乗客のみなさまもあたたかい心でベビーカーが近くにいたら手を貸していただければ。」みたいなことを伝えるとかできたんじゃないか、NHKで宣伝できるのに、もったいない。しょせん、子育てしてない背広組ばっかりの会社なのかなと思ってしまった。

NHK9時のアナも、「まわりの人もたまには(時には)手を貸しましょう」だそうだ。ここでは、「なるべく」とか「できるだけ」と言ってほしい。私はベビーカーを見た時は必ず手を貸すようにしていますけど、こういう発言は男性として恥ずかしい。

国内育児用品メーカーのコンビを見習ったらいいんじゃないでしょうか? コンビ社は男性社員に育児休暇5日間の取得を義務づけている。こういう会社の製品を買いたいと思いますね。

2007年10月16日

アメリカに電話したのに、インドにつながる

シンガポール航空(在米電話)に電話したら、どうやらインドにあるコールセンターにつながった。インドアクセントの英語だったから、「ところであなた、アメリカの外にいるんですよね、インドですか?」と聞いたら、そうだというので、「どこですか? バンガロール?」と続けると、"マラッシャ"といわれました。どこだろう。ヘラルドトリビューンに関連記事がありました。

正式にカルテックメンバーに

9月末に米国政府からの労働許可証が届いたので、カリフォルニア工科大学の正式なメンバーとなりました。今朝、人事課(写真)に行って保険加入の手続きやコンプライアンス書類に署名してきました。学部にも"Non-Professorial Faculty"の一員として載ってますね。http://www.hss.caltech.edu/ss/faculty/kan

2007年10月15日

涼宮ハルヒの憂鬱@カルテック

ミシガン大学でも日本アニメファンクラブってのがあって、月1回は大教室を夜中まで借りきって、日本で放映されている旬なアニメを大スクリーン(小さな映画館の規模)で上映してくれる。"fansub"といって有志がつけた英語字幕入りを流すので、アニメ自体は日本語のままだ、ありがたい。つい1週間前に日本で放映されたようなものでも、録画されてfansubがついて、アメリカで見ることができる。米国ライセンスやDVDを待っていては、旬に追いつけないというわけだ。まさに日本のJソフトパワーの最前線。麻生太郎さんも読んでいた「ローゼンメイデン」やら「蟲師」も上映したし、デスノートもパラダイスキスも私はミシガン大アニメクラブのおかげで大画面で鑑賞することができた。パラキスじゃ涙ながしてしまいましたよ。

ここカルテックは小さな大学ですが、理系の大学というだけあって、やはりアニメオタクはいるんだな。毎週、みんなで集まってテレビでDVD(米国ライセンス済み)を観ているようだ。今回は、日本のアニメファンの間で流行っていた『涼宮ハルヒの憂鬱』と『のだめカンタービレ』などを鑑賞。私はハルヒを観てみたかったので、おじゃました。米国人アニオタに囲まれた生暖かいマターリとした週末の夜でした。(写真は第5話)

2007年10月13日

紙ナプキン・ペーパータオル

ランチセミナーで発表したあと、サンドイッチを食べているのですが、ペーパータオルがいりますね。とにかくなんでも大きいなあ、アメリカは。大口あけて食べては、ペーパータオルで口をぬぐうというスタイルが結構ありますね、チキンウィングとかBBQとか。ペーパータオル、もったいない。

Caltech セミナーで発表

Caltechのランチセミナーで発表しました、参加者は約20名でした。写真中央が私のボスのJohn Ledyard(レジャード)先生。Ledyard (1984) が投票行動についてのモデルを Public Choice に発表しているのを知ったのが大学3年生の時でして、私が計算したかったことをずばりやっていたので、頭いい人もいるもんだなと思いました。その人が私の雇い主になるとは、思いもしませんでしたね。この人もめちゃくちゃやさしい人です。

写真は、レジャード先生が別の質問者にコメントしているときの様子です。

2007年10月12日

シンガポール航空>> (壁) >>NW

シンガポール航空(成田からロスまで)に乗りました。東京-デトロイト直行便があったので、私はいままでノースウエスト航空(NW)に15万マイル以上乗ってきたと思います。やはり、NWとシンガポール航空の間には超えられない壁がありますね。NWはスナックをほうり投げますが、シンガポール航空の乗務員の人はヘッドセットやスナックを乗客の一人一人に手渡ししてくれます。エコノミーなのに、離陸前のウェルカムドリンクも出ました。

チケットは1週間くらいまえにHISで80300円で購入、たぶんマイルは付かないかな。ちなみに、NWは11万円以上。もうNWは選ばないと思う、名前のとおりNorthworst (ノースワースト)航空です。NWではエリートステイタスなのでビジネスクラスカウンターでチェックインするのですが、誰も、誰ひとりとして荷物を持ってくれたことはありませんでした。係りの人がセルフチェックイン機の横に立って、いちいち馬鹿丁寧に操作を手伝ってくれます。画面見れば操作方法ぐらいわかりますよ、PC使ったことないおじいちゃんじゃないんだから。それなのに、荷物を運ぼうともしないんですね。今日乗ったシンガポール航空のチェックインでは、係りの人がちゃんとトランクを計量台に乗せてくれましたよ。

2007年10月10日

逆カルチャーショック:こちらこそ恐縮です

逆カルチャーショック、明るい方。これは日本のサービス水準の正確さ、丁寧さでしょうか。

コンビニに行って100円のものを買っても、ありがとうございました。と言ってくださる。アメリカは「客がありがとうという国((c)Kan Takuechi)」ですから、たとえばマクドナルドに行けば、「つぎぃ! いらっしゃい。で、なに食べるの?  コンボ3? 飲みモンは?  5ドル22. 」という対応が普通です。

時間指定サービスが時間どおりに来ることなんて、降水確率30%で雨がふるようなもんですし。それに比べて、日本のサービス水準の高いことといったら、涙がでてきます。この正確さ・丁寧さは、きっと世界一でしょうね。感涙。

逆カルチャーショック:もうちょっと他人に話しかけよう

日本を出て外国にいて経験するのがカルチャーショック、日本に帰ってからのは「逆カルチャーショック」といいまして、後者のほうがきつかったりします。

電車に乗っていて、妊婦が乗ってきても、赤ん坊を抱えた親が乗ってきても、誰も席をゆずらない。これにはかなり、驚いた。先週、成田行きの京成特急に乗っていた時のこと。赤ちゃんを抱えたお母さんが途中駅で乗ってきて、席が空いてなかった。それでも立っているのは彼女だけ。私はドアから7席離れた車両の端にいたので、ちょっと遠い。彼女の立っているところまで9席分くらい離れていました。近くのだれか譲るかなと10秒ほど待っていましたが、結局、誰も動かなかったので、わたしのところまで来て座ってもらいました。どうも助かりますー、とのことで、お子さんの体重は9kgほど。15分ほどしてその親子はまた降りて行きました。

もちろん、アメリカではみんなが席を譲るというわけではないし、地域差がものすごくあるわけですが、東京に帰って実感するのが、他人同士が存在を無視することで都市生活を営んでいるということ。結果、あまりにもみんな他人に冷たい。ちょっとしたことで他人に話しかけると、宗教の勧誘かナンパか「ちょっとおかしな人」扱いですね。私はアメリカナイズされちゃった「ちょっとおかしな人」なんでしょう。思えば遠くへ来たもんだ。

2007年10月6日

カメレール博士に聞く

お! なんと日本ではカメレール博士としてテレビCMに出てたんですね Prof. Colin Camerer (コリン・キャメラー教授)。さっそく本人をつかまえて、「日本のCMに出てるんですね! びっくりしました。」と話を聞いてみました。どうやらいきなり広告代理店からメールで連絡があって、行動経済とか心理学とかを研究している authentic な一流教授を探している日本の証券会社があるんだけど、カメレール先生、そのCM出演に興味ありませんか? と聞いてきたそうです。ロケは全部で1日だけ。トレーラーが4台がこのカリフォルニア工科大学に来て、いっきに撮影をしたとのこと。(うち1台はメイキャップ車、まゆげもトリムしました)。

日本から来た監督は英語を話さないので、ジェスチャーで「演技指導」を受けたそうです。おもしろかったのが、上の画面で Colin が来ているジャケット。Authenticな (ホンモノの)教授が着るものを、と言われて Colin 本人はいつもの短パンやらTシャツを用意したんですが、もちろん、日本人からみた "authentic" な感じの教授じゃない。結局、撮影スタッフが用意した衣装を全部着させられたそうです。CMを見たときに、どうも「らしくないな」と思いましたが、やっぱりか。
(追記:日経ビジネスアソシエにインタビュー記事を書きました
脳と行動の関係を解明、より良い選択を目指す」)


ここカルテックは10月が新学年のスタート。今日は学部主催の新年会で、なかなかおいしいディナーをいただきました。初めに配られたザクロのカクテルも地元のビールもうまかったです、ごちそうさま。

2007年10月2日

セコイア国立公園(世界一の大木)

セコイア国立公園までパサデナから車で4時間弱ほど。なかなか大きい樹ですね。写真のとおり、周囲が晴れ渡っているため、森の奥にひそむ秘樹という感じはなくて、むしろアメリカ的にドバーンと大きかったです。写真にうつっているのは、たしかThe House と名づけられたセコイヤたち。いろいろなところにこのサイズの樹木が突っ立っています。とにかく大きい。写真をよくみると人がひとりいますね、その横にフツーのサイズの丸太がころがっています。この丸太とセコイア本体とを比べてみれば、セコイアの巨大さのイメージがわきますでしょうか。

標高が高いため、意外と寒いので注意しましょう。