2010年12月26日

子ども・子育て新システム(保育園制度改革)のきれいごと

保育園制度がもうすぐ「新システム」に改革されるかもしれない。私の思うところを整理したい。

この改革は「質より量」で待機児童問題に対応すること。政府の借金は返済不可能なレベルで、厳しい財政難。こうした中、他の予算を削ってまで、保育園のための予算を増やすのは難しいでしょう。要するに、今ある保育園の質を下げないかぎり、保育園の量(定員)を増やすのはほぼ不可能です。

私がひっかかるのは、この新システムに賛成する人たちが、「質の議論を避けている」こと。その1点です。

2010年12月1日

Associate Editor(編集委員)になりました

Economic InquiryのAssociate Editorになりました。Economic Inquiry(エコノミック・インクワイアリー)は、1962年創刊の経済学学術誌(もちろん"査読"付き)で、経済学の幅広いトピックに関して論文を載せています。特に、研究テーマにとらわれず、専門分野外の経済学者にも様々な研究テーマ内容がわかることを重視しているとのこと。これまでにも9人のノーベル経済学賞受賞者が論文を載せています。

Associate Editor は、日本語に訳すと、編集委員でしょうか。トップにEditor(編集長、主幹)が1人いて、Co-Editor(共編者)が16人、さらに Associate Editorが16人います。
編集長のプレストンマカフィー(Preston McAfee)大先生からメールで依頼があったので、すぐに返事をしました。トップ50に入る経済学学術誌で edit に携わっている日本人は、ほんとうに数人を数えるほど。光栄ですね。

2010年10月の最新号をみると、なるほど、
 直接民主制の所得再分配への影響:スイスでの実証
 経済成長と政教分離:フランスの場合
 成績を甘くつけることの本当のコスト(1960年代からの検証)
といった学際的トピックがあります。

表紙をめくると、Associate Editors リストに「Kan Takeuchi / Hitotsubashi University」と書かれている。先週、一橋大学でトークをしてくださった、Hamermesh先生も「いいね!Department(上司、経済学部)も喜んでくれたでしょ!」と言ってました。

編集長のマカフィーさんは、現在 Yahoo!リサーチのチーフエコノミスト。2007年までカリフォルニア工科大学で経済学の教授をしていたのですが、ヤフーに移籍。インターネットと経済学の結びつきは、近年特に強くなりました。2007年にGoogleがカリフォルニア大学バークレー校のヴァリアン教授を引き抜いたのに対して、ヤフーが招聘したのがこの人(関連ニュース:エコノミストを重宝するシリコン・バレー~事業開発や機能拡充に学者を採用

彼がメールに添付してきたのが、「EDIFYING EDITING(PDF版)」というエッセイでした。

2010年9月13日

『社会科学における実験の意義』 サマースクールで講演

実験社会科学 サマースクール 2010』で、一番はじめのレクチャーを担当させていただきました。タイトルは、「社会科学における実験の意義」と大風呂敷を広げたので、今回は、壊血病の話をすることにしました。壊血病はビタミンCが不足すると発症し、血管がぼろぼろになってあっという間に死んでしまう恐ろしい病気です。


大航海時代に、長い航海の間に船員の多くがこの病気にかかったそうです。ただし、オランダの東インド会社所属の船乗りたちは、新鮮な野菜が壊血病に効くことを経験的に知っていました。

2010年9月12日

第14回実験社会科学カンファレンス 運営責任者


一橋大学でカンファレンスを開催しました。運営は私で、主催は、文部科学省特定領域研究『実験社会科学 ―実験が切り開く21世紀の社会科学―』 です。

発表内容などは、カンファレンスのウェブサイトをごらんください。
http://www.econ.hit-u.ac.jp/~kan/expss2010/index.html

【数当てゲーム(p-beauty contest)】
せっかくたくさんの人が集まるので、参加ご登録いただいたみなさんで、余興のゲームを行いました。

【ゲームの概要】
0~100までのなかから、数をひとつ選んでください。下に書いてあるルールにしたがって、当選番号が決まります。あなたが選んだ数が、他の人の選んだ数とくらべて、その当選番号にいちばん近い数であれば、あなたに賞品を差し上げます。

2010年8月11日

時間選好の論文が Games and Economic Behaviorに

時間選好の実験論文が、Games and Economic Behavior に載ります。タイトルは"Non-parametric test of time consistency: Present bias and future bias"です。

私の論文は、ほぼすべての時間選好モデルが暗黙に前提としている条件を指摘して、その解決方法を提案したもの。さらに、非合理的な行動としてよく知られている「現在バイアス」だけでなく、「"未来"バイアス」もある可能性を実験によって確かめ、時間割引関数が逆S字カーブを描くこと示した(ええと、画期的なものだろう)。内容を以下に紹介します。

2010年7月2日

若者=少数派。投票にいこう

若者よ、選挙に行こう(投票しよう)。下の円グラフは、前回の参議院選挙で選挙に行った人の年齢を調べた結果を表している。
実際に投票した人たち(選挙に行った人たち)に占める若者20代の割合は、わずかに8%。それに比べて、50代・60代以上の部分をみてほしい。42%+21%=63%だ。投票した人の3人に2人は、50歳以上ということ。

JALの経営破綻のときに、OBの企業年金をカットするかどうかで一悶着あったのを思い出す。国の年金についても、同じようなことは起きるだろうか。

2010年6月22日

コペンハーゲン Risk and Time Preferences

コペンハーゲンのビジネススクールの「リスク選好・時間選好カンファレンス」に行ってきた。この分野で実験をしている人たちが多く集まっていたので、いろいろと勉強になる。カンファレンス出席者が、論文を書いた時のレフェリーになるかもしれないので、どういう傾向のことに関心があるのかをシェアするのはとても重要なこと。

コペンハーゲン駅前には、あの世界最古のテーマパークというチボリ公園(写真)がある。日本にもかつて岡山県倉敷駅前に「倉敷チボリ公園」という、この本家チボリと"提携"していたものがあった(1997~2008年)。赤字の三セクみたさに倉敷チボリを訪れたのだけど、そのときは「やれやれ」としか思わなかった。それが今回、この本家チボリのゆったりとした時間が流れる落ち着いた雰囲気を体感して、なるほどこういうものを作りたかったのだなと少し納得。

さて、私は、主催者たちが以前に考案した実験方法についてコメントしていたもので、それに感謝するためかディナーに呼んでくれた。その実験方法を、彼らは incentive compatible (回答者がウソをつかない)ものとしていたのだけど、実はそれはちょっと違っていて、そのことを教えてあげた次第。私も当初、彼らの手法を使わせてもらおうとしたのがけど、よおく考えてみると、ウソをつくことで回答者が得をする反例に気づいた。その反例を教えてあげたので、その御礼ということかな、ディナー美味しかったです、ごちそうさま。

学会会期中、早稲田の実験経済学は1回おやすみ(後日補講)にして、その間は、Machina三角形についての宿題をやってもらっていました。ちょうど、ディナーに、Machina先生もいたので一緒に写真に写ってもらいました。

2010年6月13日

博士号をとるステップ2:コースワークを終えて

前回の続き。
博士(Ph.D.、「ピーエイチディー」)になるときの手続きは次の通り。
Course work → preliminary (comprehensive) exam → 3rd year paper → committee → proposal defense → oral defense → doctoral thesis (dissertation).

3rd year paper: コースワークを終えた3年目に論文を1本書くことになっている。3年目だから、日本でいえばD1にあたる段階。このときにそろそろアドバイザー(指導教官)を決めなくてはならない。どの先生に指導教官になってもらうかは、博士課程にあって一番重要なことだ。これは、どんなに強調しても、強調しすぎることができないくらい重要だ。このドラマについてはまたいつか別の機会に書こう。

cognate: コグネイト、大学のポリシーとして専門以外の科目の講義も勉強しなくてはならないことがある。

2010年6月4日

博士号をとるステップ:修士号と博士号

とても懐かしい。おもわず買ってしまった。このクッキーを、3年前の5月のディフェンスのときに買ってもらったのを思い出した。ディフェンスというのは博士論文の口述試験のこと。博士号取得の最終段階で必要なステップだ。

博士論文についての発表だから、2時間以上になるのは当たり前。審査員となっていただく先生方のおなかをすかせてはいけないので、飲み物といろいろなスナックを用意して備えた。そのスナックのひとつが、写真のクッキーだ。これをみて3年前のことが思い出された。2007年の夏に博士号を取得 → 妻の妊娠 → LAと東京の往復生活 → 一橋に就職 → 日本に戻る → 出産・育児と、振り返る暇もないまま3年が過ぎた。博士論文もパブリッシュしたことだし、忘れてしまう前に、ミシガン大学での博士号取得プロセスを振り返っておこうと思う。

博士(Ph.D.、「ピーエイチディー」)になるときの手続きは次の通り。
Course work → preliminary (comprehensive) exam → 3rd year paper → committee → proposal defense → oral defense → doctoral thesis (dissertation).

大学を卒業すると、学士号(BA)という学位を取得できる。大学の卒業証書には、あなたは学士になったんだということが書かれているはず。それで、そのあと大学院に行ってとれるのが、修士号(MA、エムエー)だ。通常は2年間、ある特定の専門分野についてみっちり勉強することで取得できる。ビジネススクールでとれるMBAは、Master of Business Administration の頭文字で、ビジネス分野(経営学)での修士号という意味だ。

私が取得したPh.D.(博士号)は、そのさらに先。修士号がある特定分野のことを詳しく知っていることの証であれば、博士号レベルでは、その特定分野の最先端を切り開いていくことが求められる。このちがいは、次のようにいえる。修士になるには、教科書に書いてあることや何かの解説をすごいスピードで吸収していかなければならない。それに対して、博士になるためには、修士になるための勉強をする人達が将来読むであろう教科書に載るような"発見"をしたり、問題を"解決"したりする必要がある。将来の教科書に書かれるであろうことを今ここで見つけていくのが、博士課程の学生に要求されていることで、すでに発見済みのことを勉強するのが修士課程の学生。決定的に違う。もちろん、博士のやっていることが将来の教科書に載る大発見だということでは必ずしもない。それでも、修士と博士は、そのぐらい違う。小説を書く作家と、その作家の小説をよく読んでいる読者みたいなものか(えらそうだなあ)。まあでも、理想的にいえば、やっぱりそうだろう。実際、修士号取得はかなり楽だ。

さて、その博士号取得プロセス。まずは、コースワークからだ。

2010年4月11日

彼の話す言葉 本当に楽しいね

そろそろ2歳。かなりの言葉を聞き分けるようになり、そのうちのいくつかを自分で言うようになった。思いだせる範囲で、いまのところ、112語。ジェスチャーをまじえての会話はとても楽しい。こんなに楽しいことっていままでの人生であっただろうか。最高に楽しいねえ。

昨日の朝、掃除機をかけた。夜になってそれを思い出して、ジェスチャーを交えながら、「ぶーぶー、あお、ここ。パパ、あっち」と言ってきた。「掃除機青いスイッチを押して電源をいれて、ここを掃除機かけたよ。パパあっちを掃除したね。(そして、掃除機がけは楽しいね)」ということ。実際にそのとおりの場所。

「タクシー乗っていこうかな。」と妻にいうと、「きーこ、きーこ!」と息子が返してくる。きーこというのは、タクシーのこと(黄色いから)。「そうだ、黄色のタクシーに乗ろうか」というと、「ぐるぐる、あおあお!」。タクシーのハンドル。あおあお!は、この場合は黒いタクシーのこと。話が通じているととてもうれしいので、それを共有したいみたい。

いまのところ、こんな言葉を話す:パパ, ママ, おっぱい, じょーじょ(象さん), じーじ(きりん), あっぱ(パンダ), ぐー(ライオン), オエラオエラオエラオ(メリーゴーランド), 一回!, こわい, おおきい, あけーて, ナイナイ(ない、いやだ、おかたづけ), かっか(魚), だっこ, ちっちゃい, あーけ(カーテン), あお(青、黒), くっく(靴), あとと(ありがと), きーこ(黄色、タクシー), ぎゆー(だきしめる), ちゃーちゃ(おねーちゃん), のんの(ベビーカーに乗る), あくく(歩く), た(靴下), ぺんいん(ペンギン), むじー(くじら), ぐるぐる(洗濯、ワイパー、ハンドル), ぴーぴっぴ(洗濯), ちょーだい, とって, にょんで(読んで), みせて, お茶, もに(海苔), はむ(みかん), りんご, にゅーにゅ(牛乳、飲む), ちゃちん(写真), ぶーぶ(掃除機), こえ(これ), あっち, 行っこ!, めんめ(目), みんみ(耳), あお(あご), ひざ, ひじ, おいえ(おいで), デュー(リス), ぷー(くまのプーさん), ぴっぴー(ミッキー、ミッフィー), なんじ(何時に帰る?), たって(すわって、すわる), ここ, いたい, たい(くすぐったい), べーべ(かゆい), とい(トイレ), うんち, truck, あぽー(apple), コーヒー, あめ(亀), にょ(クマ), かきき(新幹線), きーかっか(点滅灯), ばんじゃ(ジャンパー), ぼうし, どーぞ, おゆび(おやゆび), 爪, 足, てって(手), びりびり, あーあ, みず, ちゃーち(ワニのチャーリ), たーた(たるーら), ぷーん(スプーン), 箸, プープ(スープ), トント(トマト), はいゆ(入る), でゆ, じゃー(入浴剤), こわい, おわった, あーぶし(歯ブラシ), アンパンマン, みのり(緑), っとん(布団), DVD, こあ=コアラ, まめ(ダメ), ななごー(すべりだい), こえん(公園), コロコロ, だーだ(がったんがったん), あくしゅ, 馬, ごっつん, あばん(カバン), あむない(危ない), ちゃう(ちがう), いよん(ライオン), がおー, 黒, 階段, かわいい

2010年4月2日

少子化対策っていうなら、こうじゃなくっちゃ!

この写真のような雰囲気になってほしい!

写真は、アメリカ合衆国国際開発庁の長官の宣誓式。ヒラリー・クリントン国務長官がラジブ・シャー博士(Dr. Rajiv Shah)に辞令を渡すシーンだ。子どもと家族が一緒に出席しているのはもちろんだけど、坊やがいいね。お父さんの足につかまりながら、ヒラリーではなく、どこか他のほうを見ている。

日本ではこういうシーン、ありえないよな。子どもと晩御飯を食べもしない男性上司に囲まれていたら、若い人も子どもを作ろうなんて意思決定はしにくいでしょう。

写真のぼうやの仕草、子どもってこういうものでしょう。大人の空気なんてものあまり読まないし、場合によってはさわいだりもする。でも、それでいいんだ。大人の空間にもっと子どもが当たり前のようにいれば、若い人も子ども欲しいと思うかもしれない。

ところで、このShah博士は、38歳。ペンシルバニア大学で医学博士号、同大学のウォートンビジネススクールで修士号も取得している。しかも38歳、これがアメリカの強みだ!!

2010年3月30日

ztree2stata: A data converter for z-Tree and Stata users

ztree2stata imports a z-Tree (Fischbacher, 2007) data file and converts it into Stata format. Specifically ztree2stata:

2010年2月13日

日経平均みれば1年後の就活を占えたはず。

2008年9月にサブプライムローン問題で株価が急落したあと、講義中に学生のみなさんに"警告"しました。
「3年生の君たちの就職活動は去年とは比較にならないから、覚悟してほしい。」
「サークルやゼミの先輩たちは売り手市場で就活した。そのアドバイスを当てにするな!

そのときに見せたのが下の図。青いグラフは10月の日経平均株価(終値)で、赤いグラフは大卒求人倍率(リクルートワークス研究所)。

2010年2月1日

経済学"教育"とプロパガンダ


ケインズ経済学とハイエクの思想を対比させながらラップミュージックで歌い上げるビデオです。ケインズは、20世紀前半に財政政策(政府による不況対策)の必要性を理論的に説いた経済学者。ビデオ前半では、政府がとにかくカネを使い景気を刺激することで、停滞していた経済が好循環し始めると説いています。後半では、対するハイエクが、そうした一時しのぎの景気刺激は錯覚であり、その錯覚がバブルをうみ、さらにバブル崩壊によって経済は停滞する。ばら撒き政策・インフレ政策はやめよと歌います。歌詞はこちらのURLの左下のほう"SING ALONG"というところにあります。
http://www.econstories.tv/home.html

一見すると、大変興味深い経済学教育ビデオです。すばらしい! 
しかし、どうもしっくりこない。それに、金をずいぶんかけて誰がこんなもん作るんだ?
反ケインズ的なところが共和党を連想させるなあ。景気刺激のイメージとして全編にわたって、ケインズがパーティーで酒をあおって女性たちと踊っている。なるほど、政府支出は無駄で破廉恥なパーティに等しい愚行だといわんばかり。監修した経済学者は『インビジブルハート』の著者でいわゆる市場原理信奉者だけど、それはよくあること。制作部局はジョージメイソン大学の Mercatus Center という組織。市場の機能を研究する目的の部門なのですが、それもよくあること。でもやっぱり、その資金源が...おもしろい。

2010年1月29日

ハイチ震災、国境なき医師団に寄付

ハイチ地震被災地におけるMSF緊急チームの援助活動に1万円寄付。

国境なき医師団のほかにも、多くのNPOが寄付を待っています。クレジットカードでネット決済もできるところが多いです。

2010年1月28日

「その他」みたいな父親になってはいけないな


「主な保育者: 母・祖母・おば・その他」
なるほど「その他」程度しか育児に関わらない父親が多いのでしょうねえ。区役所の1歳半健診のアンケート用紙です。

もちろん、母に丸をつけ、その他の横に「父」と濃く書いて丸印をつけておきました。

2010年1月17日

見える相対性理論

センター試験2日目は数学と理科。ちょうどいいので、前から読もうと思っていたこの本を読みました。時空図をきっちり描いて相対性理論のアイディアを説明してあるので、わかりやすかったです。相対性理論のアイディア図解はこれまでにもみてきたけれども、この本では方眼紙のようなグリッドを背景に時空図が描かれているのでみやすいですね。図をふんだんに惜しみなく使っているので、見開き(右側に解説図、左側に文章)で読み進むことができます。最後のほうで、数式を少しだけつかい E=mc^2 の図による解釈もしてくれているので勉強になりました。著者は私の従兄なんだけど、なかなか会えないので、今日はこの本を読んでみた。

2010年1月1日

オムツ換え台(男も女も育児する) サンフランシスコ空港にて。

外出先のトイレで子どものオムツを換えている父親なら、いつも感じていることなんじゃないでしょうか:まだまだ、オムツ替え台って女性用トイレにしかない!
トイレのアイコン(目印)にしても、スカート姿の女性らしき人物がオムツを替えているシーン。マイノリティなのかなあ。「子どもを育てるのは女の仕事」という観念は根強いようです。

ところが、先日行った米国サンフランシスコ空港の男性用トイレで、さすがにアメリカらしいものを見ました。「男も女も子どものオムツを替える」という前提のアイコン。こういうところはさすがアメリカだ、すばらしいね!

組み合わせオークションの実験が掲載予定に(Games and Economic Behavior)

"Multi-object auctions with package bidding: An experimental comparison of Vickrey and iBEA", Yan Chen and Kan Takeuchi, Games and Economic Behavior, Volume 68(2), pp.557-579 .

ミシガン大学にいたときに取り組んでいた組み合わせオークション実験の論文が Games and Economic Behavior誌に掲載予定となりました。印刷版に先行して、オンライン版が閲読可能です。複数の財を同時に売り出すのが「組み合わせオークション(複数財オークション)」です。入札者が複数の財を組み合わせて「パッケージ」とすることができて、そのパッケージごとに値段が異なるというメカニズムが特長です。このオークションメカニズムに関して、実験をしてメカニズムのパフォーマンスを検定してみた論文です。

組み合わせオークション(combinatorial auction)は、たとえば、テレビなどの電波利用権の入札に応用されています。米国のように電波利用権を地域ごとに設定した場合、1地域での電波利用権が1つの財ということになります。地域をまたがって(あるいは全国規模で)電波を利用したい場合には、地域利用権を組み合わせて「パッケージ」とし、そのパッケージに入札すればよいのです。

勝手な数値例ですが、たとえば、テレビ地上波の電波利用権を地域ごとに入札にかけたとき、
関東地方で600億円、
東北地方で100億円、
という経済価値がある場合でも、
 関東地方+東北地方 = 1000億円