HQという一橋大学の広報誌が「一橋の授業」を連載していて、今回は経済学部の講義を7ページにわたって紹介。そのうち半ページで私の「基礎ミクロ経済学」を載せてもらいました。
「ミクロ経済学とは、個人や企業などの主体がどのように経済的意思決定をするのか分析する学問です。20歳の学生のみなさんにそれを実感してもらいたい」(竹内准教授)
だから、講義ではさまざまなエピソードが登場する。
たとえば、日本では学生アルバイトでも時給800円ぐらいはもらっているが、中国では時給7円程度で働いている人がいる。なぜ、そういうことが起こるのか? 学生に考えさせる。あるいは、『誰が電気自動車を殺したか?』という映画を観せて、利害関係が意思決定にどう影響するかを考える。すると、社会問題には経済的なバックグラウンドがあり、いわゆる善悪で短絡的に割り切れるものではないことがわかる。時には、男女の賃金格差を約40年前のボストンマラソンにまで遡って考える。実は、ボストンマラソンに女性選手の参加が正式に認められたのは、1972年のことで、その裏には社会のルールまで変えてしまうような人々の思いや歴史があったのである。
まさに、「人々の日々の一挙手一投足が経済学」なのである。
竹内准教授の授業では、板書はしない。テキストに基づいてパワーポイントを駆使しながら講義を進める。合間に、「1分間で今の内容を自分の言葉で書いてください」といった指示をする。それは、自分の頭で内容を咀嚼することを重視しているからでる。「文系の基礎体力とは、わかりにくいものを理論的にとらえ直して分析する能力。経済学的な枠組みを使って、反対意見の持ち主に対してでも説得力のある主張を展開できることです」(談)