
とても懐かしい。おもわず買ってしまった。このクッキーを、3年前の5月のディフェンスのときに買ってもらったのを思い出した。ディフェンスというのは博士論文の口述試験のこと。博士号取得の最終段階で必要なステップだ。
博士論文についての発表だから、2時間以上になるのは当たり前。審査員となっていただく先生方のおなかをすかせてはいけないので、飲み物といろいろなスナックを用意して備えた。そのスナックのひとつが、写真のクッキーだ。これをみて3年前のことが思い出された。2007年の夏に博士号を取得 → 妻の妊娠 → LAと東京の往復生活 → 一橋に就職 → 日本に戻る → 出産・育児と、振り返る暇もないまま3年が過ぎた。博士論文もパブリッシュしたことだし、忘れてしまう前に、ミシガン大学での博士号取得プロセスを振り返っておこうと思う。
博士(Ph.D.、「ピーエイチディー」)になるときの手続きは次の通り。
Course work → preliminary (comprehensive) exam → 3rd year paper → committee → proposal defense → oral defense → doctoral thesis (dissertation).
大学を卒業すると、学士号(BA)という学位を取得できる。大学の卒業証書には、あなたは学士になったんだということが書かれているはず。それで、そのあと大学院に行ってとれるのが、修士号(MA、エムエー)だ。通常は2年間、ある特定の専門分野についてみっちり勉強することで取得できる。ビジネススクールでとれるMBAは、Master of Business Administration の頭文字で、ビジネス分野(経営学)での修士号という意味だ。
私が取得したPh.D.(博士号)は、そのさらに先。修士号がある特定分野のことを詳しく知っていることの証であれば、博士号レベルでは、その特定分野の最先端を切り開いていくことが求められる。このちがいは、次のようにいえる。修士になるには、教科書に書いてあることや何かの解説をすごいスピードで吸収していかなければならない。それに対して、博士になるためには、修士になるための勉強をする人達が将来読むであろう教科書に載るような"発見"をしたり、問題を"解決"したりする必要がある。将来の教科書に書かれるであろうことを今ここで見つけていくのが、博士課程の学生に要求されていることで、すでに発見済みのことを勉強するのが修士課程の学生。決定的に違う。もちろん、博士のやっていることが将来の教科書に載る大発見だということでは必ずしもない。それでも、修士と博士は、そのぐらい違う。小説を書く作家と、その作家の小説をよく読んでいる読者みたいなものか(えらそうだなあ)。まあでも、理想的にいえば、やっぱりそうだろう。実際、修士号取得はかなり楽だ。
さて、その博士号取得プロセス。まずは、
コースワークからだ。